「有名大学」を狙うより、 子どもを「成長させてくれる」大学を選んで

高校での出来の悪さは、大学では関係ない

「お金の問題だけではない。ウチの子は勉強もからっきしだから、大学の勉強についていけないのでは」と心配する親御さんも少なくないでしょう。そんなお父さん、お母さんもご安心ください。2人に1人が大学に進学しているんです。そんな中であなたのお子さんは果たして出来が悪いのでしょうか?

いくらなんでも、大学ならどこでもいいというわけにはいかないだろうとの意見もあるでしょう。しかし、本当にそうなんでしょうか。高校までは文部科学省の指導に従って、ここまでの学力を身につけるという枷があり、好き嫌いをいうことも出来なければ、闇雲に暗記を強いられるというのもありました。それに嫌気がさした生徒が、いわゆる落ちこぼれ、勉強のできない生徒という烙印を押されてきたのではないでしょうか。

ところが、大学は基本的に自分の好きな学問を選び、学んでいくところなのです。「好きこそ物の上手なれ」の例え通り、高校の勉強よりはるかに面白いというのは容易に想像できるのではないでしょうか。

高校までやる気のなかった子どもが、大学で勉強好きに大変身

ここではお子さんが経済学部に進んでマーケティングを勉強したとしての例え話でお話ししましょう。マーケティングとは簡単にいってしまえば、ある商売をする上で、誰にどのような価値を、どのようにして提供するかを考えていくことが基礎となります。こうした学問を知らない高校生だと、アルバイトは単にお金を稼ぐだけで終わっていましたよね。

ファストフード店だったら「いらっしゃいませ、何にいたしますか」「またのご来店、お待ちしております」といったマニュアル通りの対応で終始していたでしょう。ところが大学で学ぶと、これまで注文を取るだけで終わっていた働き方が一変します。来店されたお客様はなぜ当店にいらっしゃったのか? 素通りしたお客様はどうして他店を選んだのか? そんなことを考えるようになるんです。

さらに勉強を積み重ねていくと、お客はどんなことに興味を持ち、どんなサービスを期待するのかなど、考えが深まっていきます。高校までの詰め込み式の勉強と違って、社会ですぐ役立ちそうな実践的な学問に面白味を感じて、勉強に打ち込むようになった学生は決して少なくありません。

「大学名」で選ぶのではなく、「何を学びたいか」が重要

そんな大学生になるためには、どの大学に行くかよりも、大学で何を学ぶかをしっかり考えることが大事になります。国語が嫌いな高校生が文学部に進んだら、苦痛の毎日になるに違いありませんよね。普段から理屈を並べ立てる高校生が、論理的思考を養う法学部に進んで、勉強に目覚めたという話も枚挙にいとまがありません。

有名大学に入学できるのは70万人中14万人の狭き門 それ以外にも選択肢は山ほどある

受験生に人気の私立大学といえば、早稲田、慶應を筆頭に、MARCHといわれる、明治、青山、立教、中央、法政の5大学が続きます。さらに関西の名門大学に関関同立といわれる関西、関西学院、同志社、立命館があります。その次のグループに学習院、成城、成蹊、明治学院、武蔵という大学がありますが、立ち位置がはっきりせず、今ひとつ語られることが少ないのが事実です。

実際、受験を語るときにMARCHに続く大学群として取り上げられるのは日東駒専(日大、東洋、駒澤、専修)です。同レベルで関西に目を移すと京都産業大、近畿大学、甲南大学、龍谷大学が名を連れ、いずれも人気の大学です。

そうした人気大学にどれくらいの人が入学しているかというと、在学生数を単純に4学年で割って計算すると、東大と慶應、早稲田、それに上智 にMARCHを加えた7万6000人。それに関西六大学と呼ばれる関関同立と京大、阪大を合算した3万5000人を加えて11万人となります。さらに日東駒専を合算すると3万3000人ほどですから、全国的に知られる人気大学には、70万人中の14万人ほどしか入れないことになるのです。

残りの55万人の受験生はどこに行けばいいのか? 実はあまり語られていません。それはこうした大学受験情報を流すのが予備校などですので、高校生たちや保護者が憧れる一部の有名大学の情報しか発信されないからです。

偏差値の高い大学に入ることに、大して価値はない

偏差値至上主義の争いにどれだけの価値があるでしょうか? 日本の社会構造に照らし合わせれば答えは簡単明瞭です。ニュースでも新聞でも大企業ばかりにスポットが当たりますが、日本の企業は中小が99.7%を占めているのです。もはや、日本の経済は中小企業が牽引しているといってもいいほどなのです。

当然、東大、京大、六大学出身の学生もそうでない学生も、将来は一緒に働くことになるのです。生き残り競争の激しい中小企業では、大学のブランドよりも能力が優先されるのはいうまでもありません。大学の入り口でエネルギーを費やし、青息吐息でブランドにしがみついて卒業するより、たとえ無名大学でも、自分の進むべき道をしっかり見極めて学べば、中小企業でなくとも歓迎されるのは火を見るより明らかでしょう。

無名大学でも、やる気次第で逆転人生のきっかけに

たしかに、大企業に入って日本の最先端でスポットライトを浴びたいという気持ちはわかりますが、そこでは熾烈なサバイバルが繰り返され、一度最前線から外されると、もう二度と這い上がれない、そんな社会です。

大学にも全く同じ構造が横たわっていると考えていいでしょう。全国から秀才が集まった東大では厳しい戦いが繰り広げられているのです。高校の時一度もトップを他に譲らなかった英才がビリッケツで卒業なんてことが起こっているのです。

一流企業の熾烈さを例にあげましたが、そうした一流企業には有名大学でないと入れないということではありません。大学と違って企業の生存競争は熾烈そのもので、グローバル化が進む昨今では、有能な企業戦士を確保するのに躍起になっています。そこで有名大学か、無名大学なんて関係ないんです。有名大学をフツーに卒業した学生より、無名大学をトップクラスで卒業した学生の方が使えるというのは企業の人事でなくても容易に理解できるところですよね。

「鶏頭牛尾」という言葉がありますが、「大きな牛の尻尾より、鶏の頭の方がずっとイケている」という判断がそこでは働き、人気ランキングに入っていない大学でも、トップで卒業すれば、社会は認めてくれるのです。つまり、就職で大逆転することも夢ではない、それが大学なのです。

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