企業の実課題を企業戦士と共に学生が取り組むプログラム
企業が現実に抱えている課題を企業戦士と共に学生が取り組み、解決策を提案するという、そんな実践的な教育プログラムに取り組んでいる大学があります。
このプログラムはインターンシップのように、型通りのプログラムに沿った職場体験ではなく、真剣勝負というところです。
学生は、実際に企業の問題となっている課題を解決していくチームに参加。学生の立場という新しい視点からの提案を行い、テーマ克服の道を探っていくというものです。こうした授業を通して学生は実社会の抱えている問題点の理解を深めると共に、その厳しさを実体験。
このようなプログラムを取り入れている大学の学生は、そうそうたる企業の社員と連携して、実社会さながらの企画やプロジェクトに参加し、さまざまな体験を積んでいきます。プログラムはサッカーなどのスポーツやゲーム、宇宙開発をテーマにしたものなど、実にバラエティーに富んでいます。
企業が抱える現実の課題だけに、学生だけで運営するわけにはいきません。現に、それらの企業でその仕事に携わる実際のスタッフに交じって行っていくわけですから実にリアル体験で上司の叱責を受けることもあるといいます。アフターファイブはないにしても、そのくらい深い付き合いを通しての授業ですから、自然情熱が注がれるでしょうし、身にならないはずもありません。
企業活動に参戦し、成功を目指す!
一方、企業にとって、学生が社会見学程度というレベルのものではメリットはありませんから、真摯な気持ちで臨まなければなりません。時としてビジネスマンと同じように難題を前に胃の痛みを覚えるくらいの迫力があるといいますし、実在の役員を前にプレゼンテーションというケースもあるようです。
こうした授業は長いもので3カ月から半年にわたるものまで各種あり、内容は本格的なもので、中には実際の商品として検討することもあるといいます。もし、学生の関わった商品が開発され街中のコンビニに陳列されるようなことになれば、学生にとっては大きな自信となるのではないでしょうか。
本格的な実社会体験は、学生にとっては思いもよらない事案が発生することもあるでしょうし、そこで助けられたり協力したりして問題解決していく経験は人間的成長を促してくれるはずです。
学生が企画したプロジェクトで実行力を身につける
学生が主体の「プロジェクト活動」も正規の授業ではないものの、盛んに行われているケースも少なくありません。これはテレビの視聴者参加番組にエントリーするために手作り飛行機やロボットコンテストへのプロジェクトを立ち上げ、製作から達成まで、学生が主導して運営していくといったものです。
このプロジェクトに参加することで、企画力や実行力、コミュニケーション力、また人と協調する力といった社会人基礎力を養う絶好の機会になると学生にも好評となっています。こうした動きは常連校だけでなく、毎年、全国の大学でさまざまなプロジェクトが立ち上がっています。
この取り組みは単位としては認定されませんが、それでも多くの学生が参加するのは、何より興味をそそられるテーマだからといえます。例をあげるとソーラー自動車のレースは例年高い技術で競われますから、参加する学生にはこの上なく刺激的ですし、それぞれの知識、技術の向上は計り知れません。
さらに、国際貢献で海外に出かける機会を得られるものや、世界の学生がディベートを繰り広げる大会など、多種多様なテーマがあります。
こうしたプロジェクト活動に参加したという経験は、サークル活動やアルバイト体験といったエピソードよりも物語性があり、自主性もアピールできることから、就職活動でも有利に働くといわれています。
近未来のものづくりの実現に挑む!
また、理科系大学に多いのが、ロボットや電気自動車、水素自動車、自動運転車といった現実味を帯びた課題については、学生たちが任意で研究に打ち込むプロジェクトもあります。
学生が主体ですから、サークル同様、機械工学部の学生、化学を専攻する学生、建築を学ぶ者と分野の枠組みを越えて参加できるため、学部の学びだけでは叶わない幅広い知識の習得も可能となります。
物事を理屈だけで理解するのは難しいものです。机上の出来事を来る日も来る日も突きつけられたのでは飽きてしまいますし、向学心も色あせてしまうものです。その点、こうしたプロジェクトでモノ作りにチャレンジすれば、楽しみながらいろいろなことが学べるというものです。
例えば、太陽光パネルで電気を発電させる技術を数式や図面でいくら説明されても文系の人間にはさっぱりですが、目の前でそれを組み立てるのを目撃し、説明を受ければそのまま理解できるのではないでしょうか。
そうした学生の反応を察して、各大学は授業に準ずるものと認めるプロジェクトとなりつつあり、中には学生たちの研究を表彰し、そのモチベーションを上げるために奨励金を出すというのもあります。テーマこそ教員の提案によるものですが、運営は学生にゆだねられており、学生が自主的にテーマに取り組むことにより、問題解決できる能力を養えるとしています。
大学の狙いは、人と関わり、困難や失敗を乗り越えた先に、今まで知らなかった新しい自分の一面に気付き、それが個性を磨き、他者との協調性を学ぶという人間的成長につながるという取り組みです。