総合型選抜制度は大学にとってもメリットがある
総合型選抜は大学入学の門戸が広げるという受験生にはなんともうれしい入試制度だ。さらに、大学にとってもこの入試制を取り入れることは大きなメリットとなる。
とりわけ、私立大学は「定員厳格化」という大きな課題がある。つまり、学生定員数を確保しなければならない。一般入試で合格した受験生全員が入学してくれれば問題はないが、その大学がすべり止めであった場合、その他の大学に合格すると入学を辞退するというケースは決して少なくない。そうなると定員われとなり、大学経営が安定しないことになる。
そこで総合型選抜や学校推薦の入試制度であれば、合格させた受験生のほぼ全員が入学するので、入学者の数字が読めるという大学にとっては喜ばしい入試制度なのだ。
さらに、いわゆる総合型選抜の受験生はやりたいことが明確で、将来の夢がはっきりしているという観点からも優秀な学生が少なくない。これも大学にとっては喜ばしい点となる。
もちろん、総合型選抜で優秀な学生を獲得するためには、受験生の「志望動機」が大学側にとってとても重要な資料となる。そこで大学は受験生に「ポートフォリオ」を課しているのである。つまり、「入りたいという熱意」、志望の学部や学科とかかわりのないスポーツや文化活動で全国大会出場などの実績を発表してもらうというものだ。
そもそもポートフォリオとは、自分の実績書だ。履歴書とは一線を画す。本来、人間の成長は、テストの点数や偏差値だけでは測れるものではない。
学校行事やボランティア、海外留学や旅行経験、もちろん、テストや検定試験への取り組みや結果、それに対する気持ちの変化や行動など、ペーパー試験ではで問うことのできない成長の過程を述べてもらうというものだ。
そうした活動や経験をポートフォリオに綴り、大学側に自分を知ってもらうというものである。これは社会人となる時にも必要となることからも、ここで徹底的に学んでおいた方がいいだろう。