いい留学をするための大学選び

大学在学中、あるいは卒業後、 留学をするための大学選び

保護者世代からすると留学は特別なことだったかも知れませんが、国際化の流れから留学が一般化。中には必修にしている大学もあるくらいです。しかし、留学してもその内容によっては全く語学が身につかなかったという話も珍しくありません。それを見極めるためにも、どんな内容の留学制度を設けているのか、提携校は何校あるのか、留学先で何か学べるのかなど、まずは大学案内やホームページなどで、ざっと概要を確認してみましょう。そこで注目したいのが次の4つのポイントです。

①どこの国のどんな大学と提携しているのか。
②どんな留学プログラムがあるのか。
③留学のサポート体制にはどんなものがあるのか。
④留学にかかる費用はいくらか。免除制度などはあるのか。

「北欧で社会福祉制度を学びたい」という明確な目的があるのなら、そのエリアの国々と提携しているかどうかをまず見ます。そこまで目標がはっきり定まっていなければ、多くの選択肢があるにこしたことはありませんから提携大学の数が見極めとなります。

留学には大きく分けて、長期留学(1年以上)、短期留学(半年程度)、研修(数週間)の3種類があります。長期留学で懸念されるのが、「1年間も海外の大学に行き、卒業が1年遅れてしまったのでは、就職に響くんじゃないかしら?」ということです。

この悩みは根深く、多くの外国の大学の卒業式などが7月ということと、国内の就職難がいわれる昨今、留学が減少傾向にあります。国や企業もグローバル化時代に、こうした事態を不安視し、留学率を上げようという動きが活発で、就職時期の多様性と留学先で履修した科目が単位認定され、4年間で卒業できるようプログラムしている大学もあります。また、2年の長期留学であれば、日本の在学校と海外の学位留学提携大学の両方で学士号を取得できるというのもあります。

また、長期留学の場合は、たとえばTOEIC500点以上を取らなければならないなど、受け入れ校のレベルにより留学条件があり、それに向けての勉強も必要になります。
長期では経済的に難しいというのであれば、数週間で効率のいい留学を用意している大学のプログラム内容を確認してみてください。

中には、語学集中講座で徹底的に鍛え、その後の語学学習の動機づけになるものもあれば、現地の学生との交流やホームステイ、さまざまな施設での体験を重視するプログラムもあります。

国際化で必要になるのは英語だけではありません。そこでフランス、ドイツ、スペイン、中国、韓国といった非英語圏の言語習得プログラムの充実化を図り、海外の提携大学でより専門性を深めるといった学術的内容の留学プログラムを用意する大学もあります。英語以外というのがミソで、就活での大いなるアドバンテージにもなります。
留学で求められるのは語学力の養成だけではありません。世界観を身につけることを重要視し、異文化に触れ、人間的な成長も図ろうというプログラムを設けている大学も数多くあります。こうした経験が実社会で生きるのは説明するまでもないでしょう。

充実する留学サポート制度

留学へのサポート体制は大学によって大きく違います。この差が留学先で大きく影響しますから決して見逃せません。留学専門窓口はもとより、提携大学の資料や現地の様子のDVDを自由に閲覧できる施設やサービスの有無を確認。

中には、留学経験のあるスタッフが、留学希望者一人ひとりの声をしっかり聞き、それぞれの希望に沿った留学プランを一緒に探り、さらに不安や悩みに応じるなど、それこそ痒いところに手が届く体制を敷く大学もあります。留学経験者の生の声はなにより頼りになる情報です。オープンキャンパスで留学窓口を設けて、留学から帰国した先輩から体験談を聞ける機会もありますから、出かけるのもいいでしょう。

留学生への就職支援体制も重要なチェックポイントになります。一番は留学経験者をターゲットとしている企業に強いかどうかです。たしかに、語学力は広い範囲で求められるというものの、少しでも高く評価してくれる企業に就職できることに越したことはありませんし、そういった企業を抑えているか否かといった、留学、そして就職支援にどれほどの力を傾けているのかのバロメーターにもなるのです。

保護者にとって一番気がかりなのが、その費用。渡航費、現地での生活費、教科書代など、現地の物価にもよりますが、1年間でおよそ100万円は準備しなければなりません。保護者にとって気が重くなる金額で、留学の是非はお子さんと費用の話も含めじっくりと相談する必要があるでしょう。

もっとも、優秀な学生が経済的な理由で留学を諦め、他の大学に志望を変えるというのでは大学もたまりません。大学ごとにあれこれ施策を練って、優秀な学生の経済的サポートの充実化を図り、留学を応援しています。

留学生との寮生活が国際感覚を磨く場に

「キャンパスにいながらにして、国際交流できる」ことをうたう大学がたくさんあります。その背景には、せっかくの留学生を大学イメージアップにつなげよう、PRで活用しようという目論見もありますが、たしかに、キャンパスの国際化は目覚しいばかりです。中には世界50ケ国、1000人以上もの留学生を擁する大学もあります。

なるほど、うたい文句を真に受ければ、日本にいながらにして国際的な学びができるのは、留学できない学生ばかりでなく、これからの国際化時代を生きていく若者にとっていい経験になるでしょう。それはそうでしょう。同世代の外国人と机を並べて学べば生きた語学力が身につくに違いありません。また異なる文化、風習に触れれば、自らの価値観を多角的に見直す機会にもなります。これで真の国際人としての成長が期待できるというのもうなずけます。

しかし、留学生と一般学生が接するチャンスが仕組みとしてなければ、そうはいきません。看板倒れのケースでよくあるのが、日本人学生と留学生とはまったく別メニューの授業で、留学生が交流する機会はまったくないというものです。
ひどい例を挙げると、キャンパスですれ違った留学生に声をかけたが、日本語の挨拶も理解できないレベルだったという笑えない話もあります。そんな大学でいったいどんな授業が行われているのか、想像しただけでも鳥肌が立ちます。

もちろん、立派に機能している大学もあります。ある大学では、教員の半数が外国籍であり、世界のおよそ90の国や地域から学生が集まり、全学生数の約半数を外国人が占めています。授業のほとんどは日本語・英語の2言語で開講され、日本人学生は英語力を養う授業を受ける一方で日本語の専門科目を履修し、徐々に英語での専門教育に移行するという形で学んでいます。

留学生はその逆で、英語の授業から日本語の授業に移行していきます。つまり、ある程度の英語力が身につけば、留学生と一緒に学ぶ環境がありますし、また日本語の授業でも、日本語を習得した留学生と同じ教室で学べることになり、海外留学さながらの体験ができるというわけです。

実践的な経験で語学力向上をめざすとある大学では、日本に不案内な留学生のサポートをするボランティア制度や、日本語や日本文化を学ぶ留学生をサポートする学生を募っています。
これにより留学生は異国での生活がしやすくなり、同大学を選んでよかったという満足感が得られ、その一方で、日本人学生は語学力はじめ国際人としての素養を育むチャンスになるという二重のメリットが生じるというわけです。

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