プロの通訳になるための就活や、一流を目ざすために必要なことを先輩通訳者の働きから見て学びましょう。
プロの通訳者を目ざすための就活
通訳の仕事に就くには貿易会社や外国の企業と貿易をする商社などに入社するか通訳のエージェントや派遣会社に登録する、あるいは著名な通訳者に弟子入りするというケースがあります。いずれしても入社してすぐに通訳として活躍できるということはまずないでしょう。通訳になるためには一般常識に加え、専門的な知識や専門用語など理解する必要があります。そうした下地をしっかりと身につけることが通訳のキャリアアップの基本となります。
通訳に必要な専門用語を身につける
通訳の使命は外国語を日本語に、日本語を外国語にしてあげることですから、それぞれの語彙を身につけなければなりません。まずは仕事の内容を把握し、それぞれの専門用語を単語だけでなく、その物自体の知識をしっかりと理解しなければなりません。
また、それぞれの国の歴史や文化、価値観などの違いなどにも精通しなければ正確に通訳することはなかなかできません。新米通訳の場合、先輩通訳に同席して通訳のノウハウを学んでいきます。適確な日本語と相手国の言葉や表現を身につけていきます。
さらに、日本の商習慣、考え方を相手に適確に伝え、また、相手国の商習慣なども正確に通訳をしなくてはいけません。通訳の場面では、どんな言葉や表現が適切かを判断しつつ進行していきますから、新人通訳にとっては最初から最後まで気を抜けない毎日が続くと思っていいでしょう。
例えば建設関係の通訳であれば建築、電気、設備、内装、塗装などや材料、工事工程などの仕事とその内容を理解し、それぞれの業界で使われている日本語の専門用語を学び、それを先輩通訳がどう外国語で表現するかを一つひとつ覚えていかなければなりません。
通訳といっても専門的な話に終始するわけではありません。季節の時候など、ちょっとした会話も必要となります。また、相手は来日するにあたって日本のことを少なからずとも勉強して来ているものです。そこで役に立つのが日本の歴史や文化、そして食事などです。そうした会話を織り交ぜることで、お互いにリラックスしたミーティングになるものです。
経験が一番のキャリアアップ
通訳の仕事は一般的な事務作業や製造作業とは異なり、その案件ごとに一日の時間割が異なるものです。相手国の時間に合わせて早朝、あるいは深夜に及んだりすることもしばしばあります。
また、オンライン会議などが一般的になってきた昨今では、相手国に合わせた時間となれば昼夜が180度逆転することも決して少なくありません。つまり通訳の仕事は生活のリズムが乱れやすいといえます。
とりわけ、新米通訳は立場上、先輩の時間にも合わせなくてはならないこともよくある話で、なかなか自由な時間を確保できないといっていいでしょう。それでも通訳の数をこなしていくことで力はついてくるものですから、辛抱して一日も早く一人前の通訳者として認められるように頑張るしかありません。
通訳のやりがい
外国語の基礎や専門用語、自国、外国の歴史や文化、宗教、習慣など身につけるなど、課題の多い通訳ですが、いろいろな外国の人や文化、歴史に触れることができ、また、そうした国々に出向いて異国を知ることができるのが通訳の醍醐味です。もちろん、そうしたことを通していろいろな人々と出会えることも人としての財産となります。そしてなんといってもグローバルな世界観を持つことができるのはとても興奮する仕事といえるのではないでしょうか。
また、いろいろな職種を知ることも通訳の仕事の大変さですが、面白さでもあります。貿易の仕事であれば貿易用語や通関方法、それにかかわる法律やルール、さらに物の動きや流れがわかるのも楽しいことですし、観光関連であれば日本の文化を異文化の外国人にしっかりと伝えることの難しさと楽しさが味わえます。それだけ深く通訳することで人とのつながりもかなり深いものとなり、一生涯の友人との出会いも少なくありません。
多種多様の仕事を通訳するために熟知することで、それぞれのプロにも近い知識が得られることも通訳の面白さです。そうした博識が人のために役立つというやりがいも生まれます。通訳者の中には通訳として得た専門的な知識を生かし副業に生かしているというケースも少なくないようです。そうしたこともやりがいとなるのではないでしょうか。
何でも興味を持つ人が通訳者には向いている
通訳者の多くは外国語が得意、あるいは好きだというのが職業選択の動機となっています。
しかし、外国語が好きだったというのは、外国語に興味があったからにほかありません。通訳者としてキャリアを積んでこれたのも、それぞれの分野に興味を持てたからこそというのが大きいのではないでしょうか。
つまり、通訳者の素質は何でも興味を持てる人といえます。それに外国語がついてくるということも大いにあります。今現在、英語をはじめとする外国語が苦手という方も、いろいろなことに興味がある、人より先にいろいろなことを知りたい、得た情報を誰かに伝えたいという気持ちが強い人は、通訳者の素質が十分にあるといえます。
通訳者になるという目標をもって外国語の勉強や一般常識、身の回りにあることなどを解明していくという気持ちを持って前に進んでいきましょう。