バラエティーに富んだ学部・学科
近年の大学には学部・学科の種類も多彩なら、教育の中身もあの手この手で特長を打ち出したプログラムが次々に登場しています。本来的な意味からいえば、やはり授業が大学の核を成すものでしょうが、課外活動の領域にもユニークなプロジェクトの運営や、ボランティア活動に取り組むなど、大学本来の教育よりも魅力的なものがたくさんあります。それは大学で学ぶ選択肢がそれだけ広がったということになります。
偏差値ではなく選択肢の広さで大学を選ぶ
そんな時代に偏差値だけに依存して大学選びをする、あるいはパンフレットだけ見て大学選びをするのは、ネットで見てマイホームを買ってしまうぐらい、実は危険なことであり、もったいないことなのです。
住まいに対してもこだわりはそれぞれでしょう。床暖は絶対という人もいるでしょうし、キッチンにこだわりを持つ人もいるでしょう。将来手放すことを考えたら、スタンダードな間取りが無難と考える人もいるかもしれません。
あなたがそうした視線で、その大学にどんな価値を見出すか、どんな風に過ごすか、どんなこだわりで大学生活を過ごすかが、大学選びの基準になるのです。
大学の規模も自分の選択肢
たとえば、学生数をみると、500人にも満たない小規模な大学もあれば、1学年が4~5000人にもなるマンモス大学もあります。どっちがいいかなんて簡単に答えは出ません。ある分野に特化して学びたいと考えれば、単科大学になるかもしれませんし、幅広い分野を学びたいというのであれば、多くの学部・学科を抱えた総合大学が魅力的に映るのではないでしょうか。
また、マンモス大学と小規模大学では、キャンパスライフも差があります。マンモス大学は人数が多いだけに、さまざまなバックボーンや目的を持った学生が集まり、いろんな考え方と出会って可能性を広げていくことが期待できます。
その一方、教職員の指導は良くも悪くも浅く、広くといったものになりがちで、勉強にしろ、友人づくりにしろ、自分から進んで求めていく必要があります。
かたや小規模な大学には家庭的な雰囲気があります。小さなキャンパスには目の届かないところはなく、学生の名前をすべて知っているという教職員もいたりしますし、ゼミもサークル活動も同じ顔ぶればかりとなることから、キャンパスを歩いているだけで強い絆が感じられるものです。
どちらにも長所短所がありますが、積極的に何かを求めていくタイプならマンモス大学向き。内にこもりがちなところがあれば、有形無形のフォローが期待できる小規模大学のほうが、大学生活を有意義なものにできる可能性が高いといえます。
女子力を磨くにうってつけな今どきの女子大
女子学生であれば、女子大学という選択肢もあります。女子大学の存在意義を問う議論もありますが、女子大学には女子大学ならではのメリットや魅力がたくさんあります。
最大の特長は学内で何をするにも女性だけでやらなければならないということです。男性に取られがちなダーシップも、女性だけの環境ではリーダーシップが育まれることになります。
たとえば、共学の大学だと男性につい譲ってしまいがちなサークルの部長やゼミのリーダーといった役割も、女子大では当然女性に回ってきます。大学祭で屋台の釘を打つ、資材を運ぶといった力仕事も、誰かに頼るというわけにはいきません。それだけに、「率先して動く」「周囲を引っ張る」といったマインドが育ちやすくなるわけです。
就職活動でも、こうした特徴はプラスに作用します。企業側も女子大と聞くだけで、しっかりやってくれそうだというイメージを持ちやすいのです。視野が狭くなるのではと心配される向きもあるでしょうが、各校とも学外交流に力を入れており、「純粋培養で免疫がない」女性に育つことはまずありません。リーダー気質のある女子学生こそ、女子大学に進めばその資質を伸ばしやすいといえるでしょう。
女性の社会進出が進んだといっても欧米に比べて、まだまだ女性の管理職の割合が少ないと日本は指摘されています。企業でいえば、管理職を担う女性。そうしたリーダーとなりえる人材を育てていくことがこれからの女子大の使命ともいえそうです。
つまり、希望する学部・学科はもちろんですが、大学の規模、そこに集う学生・教員・職員たちとどう関わっていくことになるのか、これは大学によってさまざまですから、もっとも子どもと相性が良さそうな、成長できそうな大学を選ぶ、そういった視点も現代の大学選びには必要といえるでしょう。