大学進学、どのくらいお金がかかる?その③

奨学金を上手に活用して! 返済不要の「給付型」は狙い目

返済不要から貸与型など各種そろう奨学金

大学進学にあたり奨学金制度を利用するご家庭は少なくありません。日本学生支援機構によると大学生の約5割が受給しているといいます。奨学金というと成績優秀者だけが受けられる恩恵と思われがちですが、返済義務が伴うものの、経済的に厳しいという学生に向けた奨学金が多数あります。あまりにも数多くて調べるのに手間がかかりますが、お得感いっぱいのものもあれば、そうでもないものなど、いろいろな条件がありますので内容や返済プランをしっかり確認しておきましょう。

利用者が多い日本学生支援機構の奨学金

奨学金には、同額または1~3%の利息を付けて返す貸与型と、返済のいらない給付型があります。利用者が多いのが日本学生支援機構の奨学金です。無利息で借りられる「第一種」と、年3%を上限とした利息を伴う「第二種」があります。とても魅力的な奨学金ですが、どちらも高校時代の成績や家族の所得に関する条件が設けられており、審査をクリアするにはかなり大変です。

申し込み方法には、「予約採用」と「在学採用」があります。「予約採用」は高校3年の4月頃までに在学する高校を通じて申請する必要があります。審査には時間がかかり、候補者が決定するのは12月頃。しかも、奨学金の受給は入学後の4~6月となります。

一方の「在学採用」は、入学した大学で申請するもので、こちらの初回受給目安は7月頃になります。どちらも受け取りは入学後となりますから、初年度納付金に充てることはできません。内容は毎年変わるので、日本学生支援機構のホームページをチェックしてください。

国や金融機関の教育ローンも選択肢の一つ

貸与型の奨学金として人気が高いのが、日本政策金融金庫による「国の教育ローン」です。子ども1人につき最大350万円の融資が受けられ、100万円、200万円といった金額を一括で受け取ることができます。

こちらは入学前の受け取りが可能ですから、初年度納付金に充てられます。申し込みは、全国の支店のほか、銀行や信用金庫でできますが、審査に 10 日程度、さらに振り込みまで10 日ほどかかります。申請が相次ぐ受験シーズンは時間がかかる傾向にありますから、余裕を持って申請しましょう。

あわてないように「多めに借りる」のが上手な利用法

奨学金利用のポイントは、想定外の出費で足りなくなることがないよう、多めに借りることです。余剰分は貯金して、2年目に減額申請をすればいいでしょう。
ただし、「貸与型」の奨学金はいわゆる借金です。

例えば、月額10万円の有利子奨学金を4年間借りた場合、総額480万円の借金を負うことになります。卒業後働きながら 20年間にわたって毎年2万円ほどを返済し続けなければなりません。さらに返済を滞納した場合は延滞金が加算され、未納が続けばローンやクレジットカードの審査で不利になります。子どもと一緒に返済プランをしっかり立てた上で利用しましょう。

夢のような返済不要の「給付型」奨学金

大学や自治体が独自に提供し、返済する必要のない「給付型」の奨学金も増えています。代表的なものが、入学試験での成績上位者に対して入学金や授業料を給付する「特待生制度」。

その他、「給付型」奨学金の例としては、年間授業料全額または一部を免除、10~40万円を返済義務なく給付するといったものがあります。

その他にも、困窮状態にあるご家庭を支援するものや、スポーツ、音楽・芸術活動などに優れた学生向けのものなど、多種多様なものがあり、上手に使えば私立大学でも国立大学並みの学費に抑えられる場合もあります。

いずれも申請期間が設けられていますから、チャンスを逃さないよう、志望大学やお住まいの自治体の制度をチェックしましょう。

最も利用度が高いのが貸与型の奨学金

ま「貸与型」の例としては、年間授業料を貸与し、卒業後に無利子で返済するといったものがあります。現状、在学生向けのものが大半ですが、一部受験生向けのものもあります。また今後も学生の家計困窮が続けば、来年度以降も継続される可能性があります。各大学の公式HPなどで最新情報を確認してみてください。

ただし、奨学金の多くは返済義務のある「貸与型」で、卒業後に返済していかなければなりません。返済を滞納すると滞納金などのペナルティが課されるといった注意点も含めて、奨学金の利用について子どもと話し合い、利用する場合は返済プランをしっかり立てましょう。

親子で話し合うときには、貸与型は借金であることを明確にし、「できれば、給付型の奨学金を目指して欲しい」と、親の希望を率直に子どもに伝えることをお勧めします。

「―人暮らし」と「実家暮らし」の出費差はおよそ400万円

大学に自宅から通うとなると、出費は交通費と昼食代くらいのもの。一人暮らしでとなると、実に大きな出費となります。例えば、関東で家賃5万円のアパート暮らしをする場合、入居段階で、敷金・礼金・仲介手数料(家賃3~4ヵ月分)と家賃1ヵ月分を合わせた20~25万円の出費。これに家具・家電代が加われば、60万円は必要になるでしょう。

さらに毎月の家賃、光熱費、それに食費、交通費がかかってきますから、毎月7万円ほどが必要になります。かりに4年間仕送りを続ければ、総額は340万円になり、入居時の費用を合わせて400万円にもなります。

援助できる範囲を子どもと一緒に考えよう

大学で学ぶ子どもに惜しみない援助をという気持ちはわかりますが、親自身の老後の貯金も確保しておかなければなりません。どこまで金銭的支援ができるのか、線引きすることも大切です。中には、一人暮らしをするなら、アルバイトを条件にし、月6~7万円は子どもに賄わせるというご家庭もあります。

ただし、コロナウィルス感染症拡大の影響で家計困窮にある、あるいは今後陥る場合もあります。加えて頼りにしていた子どものアルバイト代減収、自粛といった状況も考えられます。そこで検討いただきたいのが大学独自の支援制度です。
オンライン環境の整備や生活費支援を目的として全生徒に3~10万円を「一律給付」をはじめ、学費納入期限延長、自宅外生活・学生寮費の減免・一部補助、奨学金制度などで積極的に支援する大学が少なくありません。

コロナウイルス感染症の影響で進学をあきらめるというケースも少なくないようです。そうした状況を受けて国が全面支援する制度ももけられていますので、大いに活用してください。

文部科学省の受験生支援情報
大学受験を控えた受験生の皆さん、困ったらまずは相談してください なかなか終息を見せないコロナ禍にあって進学もままならないと考えている人が多いようです。そんな経済状況を察し、文部科学省ではそうした受験生を支援すべく情報を提供しています。 令和...

 

 

 

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