日本の正月の風物詩となった箱根駅伝
今年も残すところ後わずか。コロナ警戒が緩み来年の正月は多少晴れやかなものになりそうではある。しかし、油断は禁物。そこでおうち暮らしで俄然注目されるのが、1月2日、3日に開催される第98回箱根駅伝である。
その予選会が10月23日に行われた。予選会は41校で競い、10位までが本戦に出場できることとなる戦いだった。
結果は1位の明大に続き、中大、日体大、山梨学院大、神奈川大、法大、中央学院大、駿河台大、専大、国士舘大の10位までが予選を通過した。とりわけ、8位につけた駿河台大学は初めての本戦初出場を果たし、大いに注目された。
大学PRの絶好の場となる箱根駅伝
97年の歴史がある箱根駅伝は、すっかり日本の正月の風物詩となり、テレビ中継も全国ネットで、高い視聴率を誇っている。
さらに正月2日、3日の両日、朝から夕方まで放送されることから、箱根駅伝への出場を果たせば、たちまち全国区に名乗りを上げることになるだけに、各大学とも力を入れ日本国内はもとより、遠くはアフリカから有望な選手を招聘して出場を狙うようになっている。
事実、箱根駅伝に出場を果たした多くの大学が人気校となり、それに伴って偏差値を上げている。その好例が山梨学院だ。
本来、箱根駅伝は関東圏の大学を対象にした大会。それを押して甲信越の山梨学院大学が異例参加。それをきっかけに同校の名前は全国区となった。
そうした恩恵を関東にありながら見過ごすわけにはいかないと国際城西大学や中央学院大学、上武大学、城西大学、平成国際大学、国際武道大学などが積極的に参加するようになった。
その結果、数年前まであまり聞きなれない大学だったが、今ではすっかり全国的に有名な大学の仲間入りを果たしている。
高校時代、無名でも箱根駅伝で活躍できるチャンスあり!
新興大学の参入に伴って選手側にも大きな変化があった。かつては高校時代にしっかりと実績を残した高校生ランナーだけが、箱根駅伝出場常連校や古豪校に入学し、夢の箱根駅伝出場を果たせた。
しかし、山梨学院大学以後、駅伝群雄割拠の時代に突入したことで、目を見張る実績がなくとも、資質を認められるなどすれば、駅伝新興大学に進学し、箱根駅伝の夢を追いかけることができるようになったのである。
実はスポーツに長けた学生が偏差値度返しで入学するというのは古くからあり、慶応や早稲田、立教といった六大学などでも盛んに行われてきた。ただし、堂々というより秘密裏に行わる入学という印象は否めなかった。それが、今では正当な入学方法として認められるようになったのである。
これこそ大学選びの新常識だ
こうした現象は箱根駅伝に限ったことではない。私立大学の多くがスポーツのみならず、あらゆる分野で大学の知名度を上げるために多種多様の方針を打ち出しており、筆記試験や偏差値で及ばすとも、特技や個性、あるいは将来性を感じさせることで入学を認めるというのが当たり前化している。
それは筆記試験だけに限定された入学制度の門戸が広く開かれたということに他ならず、これまで偏差値で大学を諦めていた高校生にとっては、大学入学のチャンスがあるということ。そういった意味で箱根駅伝は、偏差値だけで大学を選ばない時代の象徴といえよう。
ちなみに来年の箱根駅伝出場校は以下の通りとなっている。今から年明けが楽しみだ。
2022年箱根駅伝出場大学