4年間の出費をシミュレーションしてみよう
500万円あれば安心?! 進学費用の見直しを
子どもが独り立ちするまでの間、最もお金がかかるのが大学進学時です。「いるいる」とは思っていても、漏れなく見積もれているご家庭は少ないものです。例えば、私立理系大学の授業料一つとっても大学によって50万円以上の差がありますし、学費以外にも、予備校の夏季・冬季講習代、受験料など、細かな出費があります。
晴れて合格した後は、入学式のスーツ、学習用PC、定期券代と立て続けにまとまったお金が飛んでいくことになります。そんな時、「貯金が足りない!」と青ざめることのないよう費用を洗い出してしっかり準備しておく必要があります。
そこで今回は、大学進学に伴う出費について、支出項目や節約術、奨学金制度の利用方法などをご紹介します。さらに子どもとお金の話をすることの大切さについてエキスパートにうかがいました。大学進学を成功させるためにも、しっかりとマネープランを練り、家族一丸となって乗り切りましょう。
授業料・入学金以外も、 積み重なれば大きな出費に
最初に大学進学に伴う出費の洗い出しから始めましょう。大学によって授業料や納付金、受験料など差がありますし、自宅からの通学か、アパートなどに入居しての通学になるかなど、住む場所によって交通費や生活費などは変わります。お子さんの志望校を想定しながら出費を洗い出してみて下さい。以下では、特に見落としやすい出費項目について詳しく説明していきます。
まず、何といっても大きな出費となるのが合格発表後の 1 ~ 2週間以内に納めることになる初年度納付金です。入学金と1 年次の授業料が含まれるので金額も大きく、国立大学なら 82 万円、私立大学文系なら101万円、理系なら136万円が平均的な金額となります。
総合型選抜入試(AO入試)や学校推薦型入試を利用する場合、初冬に先行して合否が決まりますから、年末のボーナスでやりくりなどというわけにはいきません。そこで奨学金の利用を考える方もいますが、奨学金の代表格である日本学生機構のものは、受け取りが大学入学後になるため間に合いません。入学前に受けとれる教育ローンや学資保険などで工面するといいでしょう。
さらに入学試験の受験料も積み重なれば大きな出費となります。例えば、センター試験を利用して私立大学を受ける場合、合格率を上げるために複数の大学や学部を受けるという戦略をとる人が少なくありません。
加えて、各大学で実施される個別試験も合わせると、平均受験数は 6 ~7 校というデータもあります。さらに、遠方から受験会場へ赴く場合、親子 2 名分の交通費・宿泊費を計上すれば、かなりの出費となることは想像に難くないはずです。
予備校代やオープンキャンパス にかかる費用も考慮して
受験前にも費用はいろいろかかります。入試対策としての予備校代や模擬試験の受験料、夏場のオープンキャンパスといった出費も見過ごせません。
まず、見込んでおきたいのが、予備校代です。高校3年次から通年で通わせると 30~ 50万円、さらに夏休みや年末年始の特別講座に参加させるとなると 10~20万円が加わります。通塾させていない場合も、模擬試験や参考書・問題集の購入代は必要ですし、受験前の夏休みにもなると安心材料になるからと特別講座に通わせようと考えるご家庭も少なくありません。
さらに夏場は出費が重なります。各大学で次々とオープンキャンパスが実施され、参加料はかかりませんが、会場までの交通費、宿泊費なども同行者の分も含めればそれなりの金額になります。
オープンキャンパスは志望大学の施設や学生の様子などを見てまわり、学習環境や校風などが希望に適うかどうかを判断する、重要な機会となります。複数校を訪れることを見越して、予算を立てておきたいところです。
今年は新型コロナウィルスの流行で多くの大学が中止しましたが、例年、夏休み期間に各大学のオープンキャンパスが集中して開催されます。場合によっては、ホテルに連泊してということも考えられます。それもきっちり勘定に入れておきたいところです。
受験時や新生活、成人式、 就活にもお金がかかる
9月以降、総合型選抜や学校推薦型入試が始まります。受験料や宿泊交通費、合格後に入金する初年度納付金などの出費が見込まれます。
そして年が明ければいよいよ本格的な受験シーズンが到来。受験する大学に応じた受験料がかかり、センター試験では 1 万8000円(3科目以上)、国立大学の二次試験に1万7000円、私立大学の個別試験では1校あた3万5000円。これに交通費や宿泊費が加わります。遠方からの受験の場合、飛行機代や宿泊費などで5~ 10 万円の出費が見込まれます。
晴れて合格が決まり、入学金や授業料を払ってからも、ひと息ついてはいられません。4月からの新生活を始めるための出費が見込まれます。
自宅通学であっても、入学式のスーツ代や教科書、教材、情報収集やレポート作成に欠かせないパソコンなどの購入費として平均して 30万円の出費となります。更にサークルに入れば、道具購入や遠征時などの費用も加わります。
これに加えて一人暮らしをすると、入居時の敷金・礼金、初月の家賃、更に家具や家電の購入費、家賃・光熱費などの生活費が加わり、平均して100万円もの用意が必要になります。
在学中にも折々で、まとまった出費が見 込まれます。代表的なものとして、運転免許取得や海外留学、就職活動にともなう交通費、スーツ、カバン代、さらに女性の場合は成人式に伴う着物代などが加わります。
3年になれば、就職活動が始まります。企業訪問にはネクタイ、リクルートスーツ、カバンが必須アイテム。この時期はアルバイトも控えめとなるので、多くを親が負担することになりそうです。
いずれもそれなりの金額ですから、先のことだからと悠長に構えずに、入学前の段階で、資金繰りを考えておきたいところです。
なにやら頭の痛くなるようなお金の話ですが、こうしたことを考えなければならなくなるのは子どもの成長の証です。親としての最後の仕事と考えて、入念に準備をして大いに応援してあげたいところです。